「大丈夫、どこかには受かってるって」
心配そうに訊ねる涼に、
俺、桜坂慎之助は前向きな言葉を返した。
入学試験の合格発表が真っ盛り。
本命は残念な結果に終わってしまったが、
それほど気を落としてはいなかった。
親友と別れてしまうのは寂しいが、
二度と会えなくなってしまうわけじゃない。
それよりも、新しい出会いに期待しようじゃないか。
春といえば恋の季節!
俺にもきっと、超絶かわいい女の子との出会いが、
待っているはずなんだ、多分な。
と、持ち前のポジティブ思考全開の俺であった。
しかし気が付けば、全ての合格発表が終わっても、
俺の手元に合格通知が無いという超ビックリな事態。
あれ? これって……
「どうするつもりなの、お兄ちゃん?」
心配そうに訊ねてくる従妹の由羽子。
ままま、待て。あ、あああ、慌てる必要はないんだ。
心を落ち着けて考えれば、きっと未来は見えてくる……
と、現実から逃避しかかっていた俺に、
担任の先生から電話がかかってくる。
「お前、天海学院の面接を受けてこい」
天海学院。
それは俺の住んでいる白葉町に新しくできた、
ものすごく競争率の高い人気の学校だった。
当然、俺の学力じゃ合格は難しい。
だがどうやら、特別に設けられている地元推薦枠が、
突然1枠空いたという話だ。
降って湧いたような幸運、
その先で待っているのは一体どんな出来事か?
開かれた無限のイマジネーションは
もう止まることを知らない!